「痛いから動かさない方がいいですよね?」
施術の現場で、このように聞かれることがよくあります。
ですが近年の研究では、
“自分で体を動かすこと”が、痛みの軽減につながることがわかってきています。
これは高齢者だけでなく、
手術後や入院後などで体力が落ちた方(大病後)にも共通する大切な考え方です。
今回はその理由と、研究からわかっていることをやさしくご紹介します。
■ なぜ「動かすこと」で痛みが軽くなるのか?
筋肉を使うと、単に体がほぐれるだけではありません。
体の中では、いくつかの変化が起きています。
① 脳が痛みを抑えるようになる
運動をすると、脳内でエンドルフィンなどの物質が分泌されます。
これは「天然の痛み止め」のような働きをしてくれます。
② 血流が良くなり、回復しやすくなる
筋肉を動かすことで血流が改善され、
疲労物質が流れやすくなり、痛みの原因が軽減されます。
③ 「動いても大丈夫」と体が学習する
痛みがあると、どうしても動くのが怖くなります。
ですが少しずつ動かすことで、
「動いても危険ではない」と脳が再学習し、痛みが和らいでいきます。
④ 自信(自己効力感)が回復する
「自分で動けた」という経験は、痛みに対する不安を減らします。
これも痛みの軽減に大きく関わっています。
■ 高齢者・大病後に共通するポイント
高齢者や、大きな病気・手術のあとに体力が落ちた方に共通しているのは、
- 体を動かす機会が減っている
- 「動くのが怖い」という感覚がある
- 少しの動きでも疲れやすい
といった状態です。
この状態が続くと、
👉 筋力低下
👉 血流低下
👉 痛みの感じやすさの増加
という悪循環が起きやすくなります。
だからこそ、
“安全な範囲で、自分で体を使うこと”がとても大切になります。
■ 実際の研究ではどうなっているのか?
高齢者を含む慢性痛の研究では、
- 自分で行う運動(セルフエクササイズ)
→ 痛み・生活のしやすさ・自信が改善 - 日常の活動量を増やす
→ 痛みの予防・軽減に有効
といった結果が報告されています。
これらは、
大病後のリハビリテーションの考え方とも一致しています。
■ 実際の施術例
ここで、実際のケースをご紹介します。
85歳の男性の方。
昔からの頚椎症による神経痛に加え、
最近では糖尿病による末梢神経障害もあり、
「手が痛くて動かせない」という状態でした。
施術では、
筋肉の緊張を緩め、血流を改善することを目的に、
痛みのある部分を中心に全身のマッサージを行いました。
その結果、
施術直後は痛みが軽くなるものの、
時間が経つと元に戻ってしまう状態でした。
そこでホームケアとして、
「両手で太ももをやさしくなでるように動かす」
という、ご本人でも無理なくできる運動をお伝えしました。
すると、
ご自身で体を動かすことを取り入れてから、痛みの軽減が持続するようになりました。
■ ポイントは「がんばりすぎないこと」
高齢者の方や、大病後の方ほど、
「ちゃんと運動しなきゃ」
と思いがちですが、
実際には
👉 “小さく動かす”だけでも十分効果があります。
- さする
- 軽く動かす
- ゆっくり繰り返す
こうした優しい動きでも、体はしっかり反応してくれます。
■ まとめ
慢性的な痛みに対しては、
- 自分で筋肉を使うこと
- 日常の中で体を動かすこと
が、回復への大切な一歩になります。
これは高齢者だけでなく、
手術後や入院後などで体力が落ちた方にも共通する考え方です。
痛みがあると動くのは不安になりますが、
やさしく動かすことが、少しずつ体を取り戻すきっかけになります。
当院では、その方の状態に合わせて
「無理なくできる動き」も一緒にご提案しています。
気になることがあれば、いつでもご相談くださいね。
