
「先生、脈を見るだけで何が分かるんですか?」
これは、臨床の中で本当によく聞かれる質問です。今日は、この疑問について少し丁寧にお話ししてみたいと思います。
「病院の脈」と「東洋医学の脈」は、目的が違う
同じ「脈を見る」という行為でも、病院と東洋医学とでは、見ている目的がまったく違います。
病院では、脈拍数や不整脈の有無、心拍数、血圧といった、数値として測れるものを確認します。
一方で、私が行っている経絡治療という鍼灸の流派では、脈の浮き沈み、遅い速い、硬さや状態といった、数値には表れにくい「質」を診ています。
脈から、何が分かるのか
経絡治療における脈診では、どの経絡が弱っているのか、体全体のバランスがどうなっているのかを読み取ります。
そこから、疲れの傾向や睡眠の状態、風邪の引き始めかもしれないサイン、ストレスの影響などを推測する手がかりになります。
もちろん脈だけで判断するのではなく、患者さんのお話やお体の状態と合わせて確認していきます。
脈は変化が早く、施術中にも変化することがあります。そのため、施術の効果を確かめる手がかりの一つにもなります。
また、日常生活での変化が脈に表れることもあります。
例えば前回の施術では、疲労やストレスの影響が強く感じられる脈だった方が、次にいらした時には、とても穏やかな脈になっていることがあります。
「何かいいことがありましたか?良い気晴らしができましたか?」
そう伺うと、
「え、わかりますか?旅行に行ってスッキリしてきたんです。」
とお返事をいただくことがあります。
もちろん、旅行に行ったことが脈だけで分かるわけではありません。
ただ、体がリラックスしたり、疲れが抜けたりした変化は、脈にも表れることがあります。
実際には、脈だけでは判断しません
問診、脈、お腹の状態、体の硬さ、動き。
これらすべてを合わせて、はじめて判断しています。
脈だけで病気が分かるわけではありません。
「症状がある場所」だけではなく、「なぜその症状が起きているのか」まで考えるために、私は脈をはじめ、さまざまな情報を大切にしています。
脈は、体からの小さなサインの一つです。
それが、一人ひとりに合わせた施術につながると考えています。
